大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和57年(モ)421号 決定

申請人

佐々木保雄

右代理人

松浦武二郎

松浦正弘

主文

別紙一記載〈省略〉の訴えを提起するについて申立人を佐々木一郎の特別代理人に選任する。

理由

申請人は、主文同旨の裁判を求め、その理由の要旨とするところは別紙二記載〈省略〉のとおりである。

よつて民事訴訟法五六条を法定代理人のない禁治産者が原告となつて訴を提起しようとする場合に準用できるかどうかについて検討するに、元来禁治産者は本条による申立の訴訟能力を有せず、何人に右申立権限を認めるかについての規定も欠いているけれども、法定代理人選任手続をまつていては損害を受ける虞のある場合に特別代理人を選任して権利の救済に当らせる必要のあることは被告における場合と異るところはなく利害関係人に申立権を認めたとしても裁判長は自らの裁量で代理人を選任し不適任と認めたときは裁判所はいつでも解任することができるのであるから何らの弊害も生じないものと考えられる。

これを本件についてみるに、一件記録によると、申立人は佐々木一郎の長男であつて利害関係者であることが認められるところ、佐々木一郎は現在精神障害のため判断能力を欠く状況にあり禁治産宣告をまつて法定代理人を選任するまでには相当の期間を要しその間訴えの提起をなしえないとすると療養費等が嵩み損害を被るおそれのあることを認めることができる。

また、申立人は佐々木一郎の長男であつて同居しており同人を原告とする別紙一記載の訴訟の提起遂行に適任者であることを認めることができる。

よつて、申立人を佐々木一郎の特別代理人に選任して別紙一記載の訴えの提起遂行させるのを相当と認め、主文のとおり決定する。 (吉田秀文)

別紙一、二〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例